債券ETF比較BND、AGG、SPAB

この記事を読むと、BND, AGG, SPABの総合債券ETF選びで迷うことは、時間の無駄と思うようになります。

債券ETFの投資対象

このように、本質的には3つとも全部同じで、パフォーマンスもほぼ同じです。

それよりも、米国債券ETF自体の特性を理解し、自分にとってどう有効活用できるかを考えることに時間をつかったほうが賢明です。

こんな人に向けて書かれています。
  • ポートフォリオに米国債券ファンドを加えたい
  • 債券ETFのBNDかAGGかSPABのうちどれにすべきか迷っている

米国総合債券ファンドは例によって3つの商品が拮抗しており、どれを選んでも大差はありません。

あえてコストにこだわるというのであれば、バンガード社製のBNDが選択肢になります。

この記事では米国の投資適格債券にまるっと投資するETFの魅力と注意点、その有効的な使い方をBND, AGG, SPABを比較しながら解説します。

BND, AGG, SPABの債券ETFが選択肢になる人

債券は国債の存在感と、銀行や年金運用などの機関投資家が中心プレーヤーとなっているため、私たち一般人には馴染みが薄いです。

しかし、その市場は大きく、世界の債券市場は株式市場全体よりも2倍ほどの規模です。

世界の株式市場と債券市場の規模比較

出典:Financial Academy 「世界のお金は5つに流れている|儲けの仕組みは2つだけ」より筆者作成

世界でも米国でも日本でも同じことが言えます。(参考:野村資本市場研究所

国債の発行が債券市場を巨大にしている正体であり、まさに株式よりも安定・安心な世界です。

米国債券を活用した資産運用では、米国債券市場全体にまるっと投資でき、かつ日本からでも手軽に買えるETFが魅力です。

心を貧しくしないための債券ETF

債券は株式と比べて変動が小さいです。

それも短期・長期共に小さいので、投資額が大きくても、心にゆとりをもって投資することができます

資産運用の経験が短かったり、あまりリスクをとりたくない退職者向けの運用には向いています。

また、ポートフォリオに組み込んで、資産全体の変動をマイルドにさせる効果もあり、自身のリスクをコントロールするための商品に適しています。

債券もファンドを組んで分散させることによって、ディフォルトリスクをゼロにできるので、より安心です。

注意点:債券ETFの安心料と利子変動

安心の代わりに経費はかかるので、そこには注意が必要です。

100万円分買って年間400円くらいなので、大した経費ではないのですが、これが安心料です。(買うとき・売るときにも片道$22かかります。)

また、債券ファンドは債券と同様、より確実なリターンを得たい場合にも適していますが、個別債券と違って、分配金は予め確定しているわけではありません。

個別債券は買ったときから利子も期限も決まっていますが、ファンド化することで、債券ファンドの中身が入れ替わり、分配金が変動します。

とはいっても分配金や分配率は、安定する傾向があります。

米国債券ETFがおすすめの理由

債券ファンドも日本製より米国製のほうが一般的に優れています。

というより日本では債券ETFも投資信託も優良なのがありません。

例えば、日本で一番大きな国内債券ファンドはダイワ日本国債ファンド(投資信託)ですが、その純資産額は1,800億円程度ですが、米国債券ファンドの代表BNDは$56Billion(約6兆円)と桁違いに大きいです。

また日本で一番安い国内債券ファンドはeMAXIS Slim国内債券インデックス(投資信託)ですが、その総経費率は0.13%で、BNDが0.035%であるため、維持費は4分の1ですみます。

ほかにも以下のような個人投資家に有利な点があげられます。

  • $22で取引できるようになった
  • 発達した金融インフラで盛んな市場で取引できる
  • 円でもドルでも買えるようになった

$22で取引できるようになった

ネット証券を中心に海外ETFの低コスト化が進んでいます。

2020年現在では、SBI証券、楽天証券、マネックス証券が海外の株式やETFを売買手数料0.45%、最大で税込$22で取引できるようになっています。

手数料負けしないETFの買い方|米国株ETFのコストを最安にする方法

退職金の運用を考えている場合、資産配分の半分以上を国債などの債券に投資することになります。

また、為替リスクを真剣に考えて、資産の一部をドルベースで運用したいという場合には、米国債券ファンドが選択肢になります。

海外の債券を買う場合、銀行や証券マンを通して買うと、数万円以上の手数料を取られることがあり、非常に危険です。

商品構造をよく理解したうえで、手数料最安のネット証券を利用すれば、米国債券ファンドは非常に低コストで低リスクな商品になります。

発達した金融インフラで盛んな市場で取引できる

低コストな理由の一つに、米国の金融インフラがどの国よりも発達していることがあげられます。

また、債券市場規模も大きく、各債券ファンドの純資産額がけた違いに大きいです。

さすがに1,000兆円ある日本国債にはかないませんが、BNDやAGGは数兆円の純資産額があり、日本の債券ファンドが数十億円程度なのであれば、その規模感は見て取れます。

ファンドの規模が大きいと、より売買がされやすく、取引コストのスプレッド(売値と買値の差額)も常に小さい状態が維持されやすいです。

流動性が高く、取引コストが小さいのが米国債券ファンドの魅力といえます。

円でもドルでも買えるようになった

更に、海外投資のハードルは下がり、米国債券ファンドもわざわざドル転しなくても買えるようになっています。

以下はSBI証券の取引画面です。

SBI証券の債券ETF取引画面

出典:SBI証券 外国株式取引画面より

決済方法を円貨決済に選ぶだけで、ドルを持っていなくても買えます。

因みに楽天証券の画面でも同様に、決済方法を円貨か外貨か選ぶだけです。

楽天証券-債券ETF取引画面

出典:楽天証券 取引画面より

注意点として、米国債券ファンドは米国で運用されるため、日本人の私たちにとっては為替リスクが伴います。

債券ファンド自体が安定して運用されていたとしても、円高や円安になることによって、円換算した場合のパフォーマンスは変わってきます。

元々ドルベースで運用を考えている場合は、この限りではなく、適正な運用方法と言えるでしょう。

債券ETFのメリット・デメリットまとめ

債券ETFの一般的なメリットとデメリットをまとめます。

債券ETFのメリット
  • リスク(変動幅)が小さい
  • 株式ファンド並みの分配金がある
  • 現金の余剰資産に対してインフレ対策になる
リスク(変動)が小さい

債券の一番の魅力はリスクが小さいことです。

以下のグラフは債券ファンドの代表銘柄であるBNDと、米国株式指数S&P500の推移を示しています。

債券は株式と比べて変動幅が小さく安定している

債券ファンドと株式ファンドの振れ幅の比較

出典:Yahoo! Financeより筆者作成

株式がマイナス50%からプラス100%の変動幅を経験しているのに対し、債券はマイナス5%からプラス20%程度以内で収まっています。

この間に100年に一度と言われる大暴落リーマンショックがあり、2020年のコロナショックもあります。

債券保有者は精神を微動だにしなかったことが伺えます。

この変動幅が小さいことは、心理的な負担軽減のメリットです。

株式ETF並みの分配金がある

債券ETFの分配金は2~4%程度あります。

1000万円投資していれば、毎年20~40万円ほど利子がつくと考えればよいです。

例えば、BNDの過去5年の分配率は、約2.7%です。

債券ファンドと株式ファンドの分配金の比較

出典:Yahoo! Financeより筆者作成

米国株式のS&P500に連動するETFであるVOOの分配金は2%ほどなので、魅力的な分配率です。(VOOはキャピタルゲインがあります。)

現金の余剰資産に対してインフレ対策になる

退職金など現金の余剰資産を長期で持ち続けていれば、インフレ負けします。

債券でリターンを得続けられるのであれば、現金よりはインフレへの対抗策となります。

一方で、債券ファンドのデメリットもあげておきます。

債券ETFのデメリット
  • 為替リスクがある
  • 元本割れがある
  • コロナ危機の今は高め

為替リスクがある

米国債券で運用するため、円ベースで資産管理をする人にとっては、為替リスクがあります。

元本割れがある

債券はファンド化すると元本割れがあります。

元本割れのリスクを回避したい人には向きません。

コロナ危機の今は高め

債券は、金利が下がると価格が上がるという特性を持ちます。

金利が下がると、金利が高かった頃に発行された債券の需要が高まるためです。

2020年の今は世界的に経済が後退している局面にあり、世界の中央銀行が利下げを行っています。

そのあおりを受けて、債券ファンドの価格は上昇傾向であり、あまりお買い得なタイミングではないかもしれません。

BND, AGG, SPABの特徴と比較

ETFを比較して見るべきポイント

通常ETFの優劣を比較してみるべきポイントは以下3つです。

  • 純資産額
  • コスト
  • トラッキングエラー

    純資産額は大きいほど優良です。

    大きいと、1口当たりの運用コストが下がります。

    また、純資産額が上昇していると、人気が出ている銘柄であることを示し、より安定した資産になります。

    売買も盛んで、スプレッドが小さくなったり、売りやすい・買いやすい商品になります。

    コストはETFの場合、総経費率と呼ばれ、毎年運用にかかる経費を表します。

    米国債券ETFの場合、0.04%ととてつもなく低いです。

    トラッキングエラーは追従するベンチマーク指標との乖離度合いを表し、低いほうが優良です。

    米国債券ETFの場合、気にする必要がないほど小さいです。

    BND、AGGの規模と安定感は魅力だが、大きな優劣の差はない

    BND、AGG、SPABコスト比較出典:各社HPより筆者作成

    また、銘柄の正体を把握するために、以下の指標も頭にいれておいたほうがよいでしょう。

    • 運用会社
    • ベンチマーク
    • 過去のパフォーマンス
    • 構成銘柄

    次に、これらの指標で比較します。

    BND, AGG, SPABの総合比較まとめ

    BNDAGGSPABも米国の高格付けの債券市場にまるっと投資します。

    冒頭にあったとおり、イメージとしてはこんな感じです。

    債券ETFの投資対象

    出典:各社HPより筆者作成(再掲)

    どれも5,000銘柄以上に分散投資しているため、分散効果に違いはありません。

    つまり、機能がそっくりでメーカーが異なるだけの競合製品のようなものです。

    総合比較は以下の表にまとめました。

    BNDはコスト、AGGは規模、SPABは購入価格、それぞれに僅かな優位性が見える

    BND、AGG、SPAB総合比較

    出典:各社HPより筆者作成

    純資産額から、SPABよりBNDとAGGのほうが人気が高いことがわかります。

    AGGとSPABは同じベンチマーク(連動させる市場平均の指標)を採用しています。

    SPABは購入単価が$31と低く、AGGやBNDよりもお買い求めやすい価格です。

    しかし、経費も分配率もほとんど変わりません。

    経費率は2020年7月時点のもので、年々下落傾向にありますが、もうほぼ無視してよいレベルです。

    最後に、過去のパフォーマンスを比較します。

    分配金とで比較したのが、以下の表です。

    分配金の実績はBND、AGG、SPABともほぼ同等

    分配金比較BND、AGG、SPAB

    出典:Yahoo! Financeより筆者作成

    どれも2.5~2.7%とそれほど変わらず、誤差の範囲です。

    また、キャピタルゲインも加味したトータルリターン(分配金+キャピタルゲイン)でみたパフォーマンスもそれほど変わりません。

    トータルリターンもBND、AGG、SPABとも似通る

    出典:各社HPより筆者作成

    このことから、米国債券ファンドはBND、AGG、SPABのどれを選んでもよいと言えます。

    一番損するやり方は、これらの商品選択で迷いに迷い、時間を費やしたり、購入判断ができないことによる機会損失を負うことです。

    このような商品選択には時間をかけ過ぎず、自身の投資方針や資産配分、リスク許容度と向き合うほうに時間を使うことをおすすめします。

    まとめ おすすめの債券ETFはBNDだけど…自身の資産配分と向き合うほうがはるかに重要

    BND, AGG, SPABの債券ETFが選択肢になる人

    債券は低リスクで運用したい場合やリスクコントロールをしたい場合の最適解をもたらします。

    米国債券ETFがおすすめの理由

    巨大な市場規模・盛んな流通量・低コストなのが魅力です。

    米国債券ETFのメリット・デメリットまとめ

    低リスク運用ができ、コストも低いのが魅力です。

    一方で、私たち日本人のように円ベースで資産管理をする場合は、為替リスクを伴います。

    BND, AGG, SPABの特徴と比較

    はっきりいって、どれも変わりません。BND、AGG、SPABの間では、迷う価値のない選択です。

    コスト重視の当サイトとしてはBNDをおすすめで選んで終了です。

    商品選択には時間をかけ過ぎず、自身の投資方針や資産配分、リスク許容度と向き合うほうに時間を割きましょう。

    これら3つのETFに関するデータの参照先はこちらです。↓全て発行元の会社が公開しています。

      米国総合債券ファンドは、SBI証券で買うことをおすすめしています。

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      それではまた。