こんにちは、AJO(@ajo_kakei)です。
投資信託を選ぶときに、気になるのが手数料です。
本当に安い投信を選ぶためには、信託報酬率だけではなく、隠れコストを含めた実質コストで比較したいですね。
例えば、低コストで人気のeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)で信託報酬率と実質コストを比較してみると、
- 信託報酬率 0.0968%
- 実質コスト 0.12%(2021年4月期)
2020年4月期の実質コストは0.16%でした。
実際のコストは信託報酬よりも20~50%高くかかっているわけですね。
信託報酬の安さで投資信託を選んでも、実質コストをみないと運用パフォーマンスが想定よりも低くなってしまいます。
ところが、信託報酬と違って、実質コストは証券会社で簡単に見つけることができません。
実質コストを調べる方法を知っておくと、もっと精度の高いコスト意識をもって投資信託を選ぶことができます。
また、金融機関や市況に振り回されることなく、安心して投資を継続できることにつながります。
ここでは、実質コストの調べ方について解説します。
- 信託報酬については理解している
- 投資信託の実質コストの調べ方を知りたい
- 今もっている投資信託の費用はいくらかかっているのか確かめたい
【おさらい】投資信託にかかる費用は3段階
【見直し必須】売買手数料がかかる投信
投資信託の手数料は、投資資金から自動的に引かれるので実感しにくにものですが、まずは投資信託のコスト構造をおさらいしましょう。
投信には基本的に以下の3つのコストがかかります。
- 買うときのコスト
- 保有中かかるコスト
- 売るときのコスト
このうち買うときのコストと売るときのコストは、無料となっているものが多いので、ここでの実質コストは保有しているときのコストを指します。
- 買うときのコスト 無料
- 保有中かかるコスト
- 売るときのコスト 無料
しかし、投資信託によっては、売買手数料(購入時手数料や信託財産留保額)がかかるものもあります。
例えば、アクティブ型投信の商品説明を見てみます。
アジア・オセアニア地域の株式に投資するアクティブ型投資信託
出典:イーストスプリングインベストメントの目論見書より抜粋
- 買うときのコスト 3.85%
- 保有中かかるコスト1.76%
- 売るときのコスト 0.3%
売買手数料がかかる投信はアクティブ型に多く、実質コストの話とズレてしまうので切り分けて考えます。
もし、低コスト運用の意識が高く、アクティブ運用が本意でない場合は、インデックス型の投資信託へ乗り換えることをおすすめします。
ここからは、投資信託の主要コストである信託報酬について深掘りします。
- アクティブ型は高コスト
- インデックス運用であれば、買うときのコスト(購入時手数料)と売るときのコスト(信託財産留保額)が無料のものを選ぶ
信託報酬と実質コストの違い
投資家が投資信託に負担する費用を、「実質コスト」とか「経費率」と呼んだりします。
実質コスト=「信託報酬」+「隠れコスト」です。
低コストな投資信託を探したいときは、まず信託報酬を見ます。
手っ取り早いのは、「投信 信託報酬」とかで検索すれば、ランキングのような形ですぐに出てきます。
例えば、TOPIXに連動する投信であれば、こんな感じです。
出典:AERA dot.【金融庁のお墨付き】激安コストの初心者向け投資信託ランキング19本!
ただし、信託報酬率は改定されることもあったり、これらのまとめサイトの数字が不正確な場合もありますの。
投資信託を買う前には、しっかり自分の目で確認しましょう。
買う前に確認:目論見書(もくろみしょ)の見方
より情報の信ぴょう性を高めたい場合は、目論見書を見にいきましょう。
目論見書はそのファンドのトリセツのようなものです。
例として、eMAXIS Slim S&P500の目論見書をみてみましょう。
証券会社の投資信託のページからもいけますし、Google検索でもすぐに出てきます。
SBI証券のページではこんな感じ。
楽天証券のページではこんな感じ。
運用会社である三菱UFJ国際投信が公表しているページ(PDF)はこちら。
このページの交付目論見書というのをクリックすれば開きます。
ここで手数料は、一番下のほうにしれっと書いてあります。(7ページ目)
出典:三菱UFJ国際投信 eMAXIS Slimシリーズ
この投信の信託報酬は、年率0.0968%(税込)ですね。安い!
- 【簡単に】「投資信託 信託報酬 ランキング」で Google 検索
- 【正確に】目論見書(もくろみしょ)を見る
隠れコストとは
投資信託のコストは信託報酬に加えて、「その他の費用・手数料」という項目があり、これがいわゆる隠れコストです。↓
隠れコストは、その他の費用・手数料という費目で、ファンドの監査費用や、指数に連動させるために売買された場合にかかる手数料、海外の有価証券の保管にかかる費用などがあります。
目論見書でわかるのは、信託報酬だけで、隠れコストの金額はわかりません。
これは目論見書が投資信託のトリセツ・設計図のようなものなので、予め確定している費用しか記載することができないためです。
信託報酬以外にかかる経費は未確定のため、期末になるまで知ることができず、これが隠れコストと呼ばれる所以(ゆえん)です。
- 投資期間が終わるまで確定しないコスト
- 目論見書では金額は記載されない
実質コストの調べ方
運用報告書で調べる
投資信託の実質コストは運用報告書を調べればわかります。
運用報告書はファンドの決算資料のようなものです。
運用報告書には、全体版と簡潔にまとめられた交付運用報告書がありますが、どちらにも載っています。
また例として、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の運用報告書を、楽天証券で見てみましょう。
どういうわけか、SBI証券には直接飛べるリンクはないので(不親切!)、そのような場合、「投信の商品名+運用報告書」で検索すると見つかります。
出典:楽天証券
クリックするとPDFファイルが。そして4ページ目にこのような記載があります。
出典:三菱UFJ国際投信 eMAXIS.jpの資料を元に編集
1万口当たりの信託報酬は13円、隠れコストが5円で、実質コストは18円/1万口でした。
これを平均基準価格で割り、0.163%が実質コストとなります。
表面コストである信託報酬と比べると、実質コストは約4割ほど高く、これが実際に投資家が負担している金額になります。
- 投資信託の運用報告書・費用明細を見る
- 運用報告書は毎期発行されている
信託報酬と実質コストの比較
表面コストである信託報酬と実質コストは、どれくらい違いがあるのか、人気の低コスト投資信託を対象に調べてみました。
主な投資信託の信託報酬と実質コストの差
注)税込表記。楽天バンガードのETF経費は信託報酬に含めている。
信託報酬と実質コストの差は、主に海外に投資する投資信託に大きくなり、以下のことが言えそうです。
- 国内向けは、隠れコストはほぼ考えなくてよい
- 海外向けは、実質コストは3~7割増しとなる
これは、海外資産の保有にかかる経費と、有価証券の取得にかかる税金が国内に比べて高いからです。
細かい理由はさておいて、国外に投資する投資信託を買うときは実質コストに注意してみたほうがより安心です。
- 投資信託の実質コストは、海外に投資する場合に特に大きくなる
- 運用報告書を見て、信託報酬だけでなく、実質コストも理解しておく
投資信託の実質コストの調べ方まとめ
ちょっと手間はかかるけど、実質コストは見ておいたほうが安心につながります。
金融機関にとっては不都合な真実なので、実質コストをについては積極的に提示してくれませんので。
まとめ
信託報酬は表面上のコスト
投資信託のメインコストは信託報酬になります。
投資信託の売買手数料がゼロでないものは、高コストなアクティブ投信です。本意でない場合は、解約を検討しましょう。
信託報酬は目論見書の最後のページで調べられる
投信の信託報酬は検索すればランキング形式ですぐ出てきます。
購入する投信を決めたら、証券会社で購入をクリックする前に、目論見書の手数料覧で最終チェックしましょう。最後のほうのページにあります。
実質コストは運用報告書でわかる。
上級者は運用報告書をチェックです。
海外に投資するインデックスファンドだと、実質コストが信託報酬より3~7割アップもありえます。
こんな記事も書いています。
それではまた。