車の維持費を低くするためにも、燃費は気になるパラメータの一つです。
最近の車にはほぼ標準でついている燃費計。
ハンドルとスピードメータ―の近くにあるあれです。
一体どれくらい正確なんでしょうか?
そんな疑問を解決するために、日産ティーダの燃費を新車時から11年以上にわたって測定してきました。
満タン法によるデータを記録し、燃費計との誤差を測定した結果をまとめました。
結論だけ知りたい場合は、目次だけご覧いただければわかるようになっています。
2年前に9年間の実績を記事にしていますが、本記事はその更新版です。
【満タン法と燃費計の誤差】13年間測定した結果【N=230】
満タン法と燃費計の測定方法
やり方は、ガソリンを入れる度に満タン給油し、レシートに書かれた給油量とガソリン代、燃費計の値を記録するだけ。
燃費計は給油するごとにゼロ設定に戻し、次回給油時までの燃費を測定させるやり方を11年以上にわたって貫きました。
今もなお継続中です。
そんなマニアックな事情はどうでもいいので結論を急ぎましょう。
途中なんらかの理由で記録に不備がある場合は、その当時ある記録と記憶に頼った推定近似値としています。
実データとの違いを明確にするため「データ補正」と備考欄に記しています。詳細は後述のデータをご覧ください。
結論:誤差は3.42%。満タン法より燃費計のほうがいい値を示す。
早速、結論から示すと、サンプル数224で示した日産ティーダの燃費計と満タン法との誤差は、3.39%で、燃費計のほうが燃費がよく見える結果となりました。
誤差は、(満タン法の値―燃費計の値)を満タン法の値で割った数字になります。
満タン法の値は、乗った距離(㎞)で消費したガソリンの量ℓで割った値です。
運転者の乗り方は、比較的エコ運転だと思います。
茨城県つくば市近郊を通勤用に使っていましたが、ここ数年は街乗りが多いです。
日産ティーダの燃費カタログ値は、10・15モードで20㎞、JC08モードで18㎞です。
満タン法による実測値がJC08モードのカタログ値に匹敵する平均燃費なので、丁寧に乗った方だと思います。
街中を走るときは信号待ちが多いので、燃費は悪くなりますね。
旅行や遠出で高速を利用するときも年に数回あります。後述のデータに明記しています。
満タン法との比較による考察
考察1 新車時のほうが、燃費計の値の誤差は小さい。
新車時は今思えば、誤差は小さかったといえます。
これは車の性能が新車時は設計したとおりに近いからというのが一つの理由だと思います。
もう一つは、タイヤのすり減り具合が大きいと考えています。
納車から最初の4年はタイヤ交換をしていません。タイヤ交換しないと、タイヤがすり減り、実際の走行距離が計算より短くなります。
その分満タン法による実測燃費は、燃費計よりさらに悪く出ます。
考察2 11年間にわたって、燃費計の値は実際よりも良い値を示す傾向が強い。
その後11年にわたり、車検やメンテを繰り返しながら、車を走らせてきました。
年間平均でみても燃費計の値は、満タン法による実測値よりよい値を示し続けました。
考察3 実燃費は経年で劣化する。劣化後の誤差は小さくなる。
新車から5年くらいまで、走行距離で8万キロくらいまでは燃費は維持されていました。
しかし、燃費計との誤差も比例するように大きくなりました。
3~4%程度ですが、これは年平均です。
実際に一回一回データを測定している感覚からは、誤差は大きくなっているように感じていました。
しかし、6年目以降は徐々に燃費が劣化していることがわかります。
同様に誤差も小さくなっています。
実燃費のトレンドをグラフで示すとこんな感じ。
8年目以降になると如実に表れてきます。
要因はわかりません。
ただ、乗車条件も経年で変化しています。
新車当時は独身でしたが、2018年以降子供が増え、乗員数は2~4人になっています。
2016年以降から通勤利用が減ったり、2020年以降のコロナ禍では街乗りが増えたと思います。
単純比較はできませんね。
考察4 高速利用が多いときは、燃費計は満タン法より悪い値を示す。
以下は、高速利用が多かったときの燃費データの抜粋です。
給油の間隔で高速道路利用が長いとき、車にやさしい運転をしている割合が多く、実燃費が跳ね上がります。
ところが燃費計はよい値を示しません。
このことから燃費計は条件の悪い街乗りと、条件の良い高速運転の間で計算されているのではと考察します。
ただ高速運転が多いときは、満タン法による実燃費と燃費計の値の乖離が大きくなる傾向もあります。
この辺は運転の仕方によって燃費は大きく変わるということを示しているのかもしれません。
満タン法と燃費計の測定データ一覧
以上の、結論と考察を導いた元データがこちら。
2010年から2021年のデータを公開しています。
ガソリンを入れる度に、燃費計の値と実燃費を満タン法で計算し、誤差を測定しています。
誤差が赤いバーで表示されている場合は、燃費計が実際よりもよい値を示している場合です。
まとめ 満タン法と燃費計の誤差は200回以上測っても5%以内に落ち着く。
今回、自家用車である日産ティーダで長期にわたって計測してきました。
なかなかここまでの回数測り続けている例は多くないと思います。参考にしてください。
ちなみにティーダは2016年で生産停止になっています。
燃費計の仕組みを知りたい方はこちら。
こちらの記事も、仕組みを簡単に説明しています。
簡単に仕組みを解説すると、満タン法は正確な実燃費が測れます。
一方でコンピュータの計算で出している燃費計とはどうしても誤差が発生します。
メーカー側はこれを5%以内にしようと設定しています。
最初から完全に一致することは期待できませんが、今回の実験結果で驚くべきことは、10年以上にわたっても、その誤差は許容範囲内におさまっていることです。
これからも燃費の測定を続けていきます。アップデートをお楽しみに。
ガソリン代については、こんな記事も書いています。
車の一か月当たりの維持費は?|具体例で計算
それではまた。