人気の米国籍ETFであるVT, VTI, VOOですが、この中からどれを選んでいいかわからないので、全部持つのはありなのでしょうか?
という疑問もあると思います。
この答えは、基本的になしだと思う理由を解説します。
- VT, VTI, VOOのうち、どれを選んでいいかわからない
- 全部買うのはなぜいけないのか?
資産配分に向き合っていない
理由は、資産配分が複雑になってしまうからです。
VT、VTI、VOOは投資先の選定に違いはあれど、中身はほぼ一緒です。
全部持ちたい理由は、「この中のどれがアウトパフォームしても大丈夫なように」ということだと思います。
これは損する感情を減らす効果はあっても、アセットアロケーションにしっかり向き合う姿勢を犠牲にしていることになります。
VTの約6割は米国株銘柄でVTIとほぼ同じです。そしてVTIの約8割強はVOOと同じS&P500の大型株で構成されています。
3つ買えば、米国の企業の銘柄をダブって保有することになります。
2022年4月現在、時価総額ベースではVTの6割は米国株(VTI)
米国株(VTI)の8割はS&P500(VOO)、S&P500の2割はGAFAM5社が占める
出典:筆者作成
しかも、時間がたてば、これら構成銘柄の割合も変動します。
見かけのポートフォリオは、3つのETFをバランスよく保有しているように見えますが、中身の資産である銘柄構成はより複雑になり、リバランス時にとても面倒なことになります。
なので、VT、VTI、VOOで考えているのなら、どれか1つに絞り込むことをおすすめします。
そのほうがシンプルに運用できます。
因みにもしVTとVTI、VOOを同じ比率で保有したら、このような資産配分になります。
出典:Vanguard ETFのデータを元に筆者作成
VTよりもアメリカ株の比重が重くなり、米国経済の依存度を高めたポートフォリオになります。
ポートフォリオはシンプルに
資産運用を長期で継続するほど、ポートフォリオは複雑になる傾向があります。
家に置いておくものと同じで、運用資産についても常日頃から整理整頓や断捨離する気持ちがないと、あっという間に持ちすぎて管理できない状態になります。
VT、VTI、VOOいずれも、株式に投資する商品です。
しかも低コストで効果的に分散してくれる優良ファンド。
少なくとも、株価平均型インデックスのダウ平均や日経平均に連動するETFよりよっぽどマシだと思います。
株価平均型のインデックスは株価によって資産配分が偏る特性がある(時価総額=株価×発行株式数)
どんな投資も未来の値動きは読めないので、これらのどれがアウトパフォームするかは、インデックス投資家として考えるべきことではありません。
投資判断のために集中して思考すべきは、不確定な未来の予測ではなく、今時点のアセットアロケーションです。
もし、全世界の株式への投資配分を考えたいのであれば、VTI+VEUで持つことをおすすめします。
出典:筆者作成
VT, VTI, VOOを全部持つのはありか?
まとめ
設問に対しての答えは、基本的になしです。
理由にもよりますが、どれがアウトパフォームするかわからないから全部持つという考えは、アセットアロケーションの考えから逸脱した行為になるのでおすすめしません。
以上、参考になれば幸いです。
こんな記事も書いています。
ポートフォリオよりもアセットアロケーションのほうがはるかに重要ということが書かれています。
VTとVOOで迷ったときの考察すべきポイントを解説しています。
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それではまた。