ETFは通常の株式を売買するのと同じように手数料がかかります。
2022年現在では手数料が安いネット証券でも0.45%(税抜)が最安です。
今や投資信託の売買手数料が無料になり、信託報酬も0.1%の時代ですので、0.45%だと手数料負けしてしまう感が残ります。
しかし、ETFは買い方を工夫することで手数料を安くすることができます。
そこで、この記事では手数料負けしないでETFを購入できる方法をまとめました。
手数料負けしないポイントは、証券会社を厳選すること、手数料が無料のETFを買うこと、少額購入を頻発しないことです。
この記事を読めば最近人気の米国株ETFも、最安で買う方法がわかるようになります。
以下、詳しく解説します。
- 投資信託よりETFの低コストにこだわりたい
- とにかく米国株ETFのコストを最安にする方法を知りたい
手数料無料のETFまとめ【SBI・楽天・マネックス】
米国株ETFには無料で買えるものがあります。
2020年からSBI証券・楽天証券・マネックス証券が買付手数料無料のETFを選抜しています。
個人的には証券会社はSBI証券と楽天証券がおすすめです。
無料となるETFは以下です。
楽天証券の買付手数料無料のETF銘柄
楽天証券の買付手数料無料のETF銘柄はこちら。
出典:楽天証券
ここにある経費率は、売買手数料とは異なり、保有しているときにかかるコスト(信託報酬に相当)です。
買付手数料が無料ならば、試しに手に取ってみてもいいし、手ごたえを感じれば、継続的に購入すればいいだけです。
ただし、注意点として売却時の手数料はかかるのは覚えておきましょう。
SBI証券の買付手数料無料のETF銘柄
SBI証券については、以下ETFの主要銘柄(バンガードVOOなど) が無料化になっています。
SBI証券の買付手数料無料のETF銘柄はこちら。
出典:SBI証券
2022年4月からいくつか入れ替えがありますが、優良銘柄が多いですね。
SBI証券については、米国株ETFに対しても定期自動購入の設定ができるのが魅力です。
上記の商品については完全無料でETFの自動積立投資ができてしまうのが大きいですね。
出典:SBI証券
ETFが自動積立できるのは地味に感じるかもしれませんが、継続すればするほど効いてくる大きなメリットです。
マネックス証券の無料9銘柄
マネックス証券は以下の9銘柄の買付手数料を実質無料にしています。
マネックス証券の買付手数料無料のETF銘柄はこちら。
出典:マネックス証券より筆者作成
マネックスは手数料をキャッシュバックで対応しています。
ですが、はっきり言って、SBIや楽天と比べると優位性はないですね。
無料だからといって、後で高くつく変な商品じゃないかと心配する必要はありません。
各社の狙いは、これら集客力のある商品を配置することよって、新規顧客に口座を開いてもらったり運用してもらうことですので、これに乗っかっても損するわけではありません。
具体的にここでおすすめなETFは、VT, VTI, VOOのオーソドックスな商品です。
各社共通で無料とし、商品としても低コストでシンプルなのがいいですね。
これらのETFの魅力はこちらの記事で解説しています。
また、バンガードのHPに行けばETFの保有銘柄は常時公開されているので安心です。
これらのETFを提供するバンガード社についてはこちらの記事をどうぞ。
ちなみに米国籍ETFのようなドルベースの購入については楽天証券よりもSBI証券がおすすめです。
理由は後述します。
ETFの購入頻度を下げれば手数料負けしない
上記の無料ETF以外を購入する場合は、毎回手数料がかかってきます。
その場合、毎月定額設定をせず、四半期、半年ごとに定額購入をし、購入単価を上げ、頻度を下げる方法が有効です。
四半期ごとの購入で手数料は3分の1に
米国株手数料最安のSBI証券、楽天証券、マネックス証券では、米国ETFの売買手数料は最大で$22(税込)として設定しています。
購入ごとに約定金額の0.45%(税込で0.5%)か$22どちらか低い方の金額が手数料になります。
ドルコスト平均法で毎月の定額購入を設定してしまえば、売買手数料を0.5%以下に抑えられても、$22x12回=$264の手数料が毎年かかることになります。
ドルコスト平均法の強みを活かしつつ、経費を抑えるには、購入頻度を減らすことが有効です。
例えば、四半期ごとの定期購入なら、$20x4回=$80です。
年間手数料は3分の1になります。
更に半年ごとなら、$20x2回=$40で、6分の1に抑えられます。
私はETFを積み立てるだけのために毎月2,300円をたれ流すようなムダ遣いはしたくないと考えます。
しかし、これが四半期に一度、半年に一度の出費なら許せる範囲になってきます。
購入頻度を少なくすると、積立投資のパフォーマンスへ影響するか
ドルコスト平均法で買っているので、購入頻度を減らすとパフォーマンスに影響しないか心配になってきます。
しかし、それは心配ないようです。
参考までに、購入頻度を毎月、四半期ごと、1年ごとなどでETFを購入した場合のパフォーマンスを比較した記事を見つけたので貼っておきます。
出典:QUICK資産運用研究所
10~20年以上の長期なら、ほぼ影響はないです。
因みに購入頻度を毎月、毎週、毎日で比較しても、インデックス投資のパフォーマンスへの影響は誤差の範囲に収まります。
結局、一定回数以上買っていれば、それまでの平均購入価格は担保されるというのがオチですね。
それでも購入の頻度を減らすことで、買付手数料をさげる魅力は大きいです。コストは確実な出費ですから。
但しデメリットもあります。
デメリット:自動化できない
デメリットは大きく2つあります。
- 自動化できない
- 中期のパフォーマンスには影響しうる
1つは購入を自動化できないこと。これは厄介です。
私の過去の失敗で、4半期ごとに定期購入する計画をたてましたが、手動で購入するとどうしてもタイミングを見計らう行動に陥ります。
売買のタイミングを図らう行為は、長期的にはほとんどパフォーマンスに響きません。多くの論文(例えばこちら)で証明されていることです。
それがわかっているにもかかわらず、人間は機械のように淡々と定期購入を続けられるほど合理的ではないようです。
購入日時を決めておくなど、タイミングを図る行為を回避するように心がけることが必要です。
もう一つのデメリットは、10年以下の中期のパフォーマンスに影響しうることです。
購入頻度が減れば、その分平均購入単価のばらつきを抑える効果が薄まるためです。
但し、長期の積立投資なら、この影響は消え去ります。
ETFを$5,000以上で買うと手数料負けしない
SBI・楽天・マネックス証券での米国ETF購入手数料は、$20(税込$22)がマックス(2020年4月現在、年々下がる傾向にあります)なので、一度に大量にETFを購入すれば、実質の売買手数料率を下げることができます。
その金額の目安は$5,000です。
最安の投資信託のコストと比較して見てみましょう。
最安の投資信託と同等のコストになる金額は?
投資信託は、0.5%以下が良心的な手数料とされています。
目安として、ETFの売買手数料をこの値に抑えれば、投資信託を実質1年運用をしていたのと同じコストになります。
そして、ETFは$5,000以上で買えば、手数料が高止まりし、手数料率も0.5%を下回ることができます。
グラフで表すとこのようなイメージで、下半分がETF有利の単価です。↓
購入単価と実質手数料の関係:0.22%以下でコスト優位になる
また2020年現在、最安の投資信託の実質コストは0.2%程度です。これを下回る投信はなかなかないでしょう。
よって、1万ドル以上でETFを買うと、優良投信よりも安くETFを購入できたことになります。
しかし、1万ドル(105万円)はなかなかハードル高いですね。
投資信託の実質コストについては、こちらの記事を参照ください。
結論としては、投資初心者含めほどんどの人は投資信託が最良の選択になります。
投資信託かETFか
どちらも金融商品として優れており、現代の投資家は2択(あるいは両方)できるほど恵まれています。
ETF購入で0.1%の手数料を目指すなら、一回の購入単価は$20,000になってしまいます。
これをできる人はなかなかいないと思いますが、目安にはなります。
$10,000の購入なら、投資信託の保有コスト1年分、$5,000の購入なら、2年分ということになります。
一定の基準として、ここは一度の購入価格$5,000以上を目指すのがよいでしょう。
ETFと投資信託の違いはこちらが参考になります。
為替手数料はゼロか片道0.04円にできる
最後に、為替コストを安くする方法です。
ドル転は住信SBIネット銀行で片道4銭
米国株ETF投資に限ったことではありませんが、為替手数料は非常に高額です。
普通に米ドルを両替してはいけません。
普通に両替すると1ドルあたり片道1円かかります。100万円分両替すれば、1万円飛んでいきますので、常用するのはやめましょう。
両替は手数料最安の住信SBIネット銀行を利用するのがおすすめです。
SBI証券と共に、必ず口座を開いておきましょう。
米ドルを購入する方法はシンプルで簡単ですが、スプレッドが非常に小さく、片道4銭で買えます。因みにユーロは片道13銭ですね。
出典:住信SBIネット銀行
米ドルの購入には楽天やマネックスでも25銭かかるので、外国通貨の取引にはSBI証券と住信SBIネット銀行を活用するようにしましょう。
各銀行のべ1米ドル当たりの為替手数料(為替スプレッド)
為替コストは安いところもあれば高いところもあります。
お気をつけを。
節税で有利になった投資信託
円ベースで投資を続けていくなら、ETFよりもそれらに投資する投資信託を買ったほうが効率的です。
これは、2020年から外国税二重課税の自動回避と配当再投資の効率が上がったためです。
具体例で見ていきます。
VT、VTI、VOOなら、SBI証券や楽天証券で投信として販売されています。
- 楽天・全世界株式インデックスファンド(通称:楽天VT)
- 楽天・全米株式インデックスファンド(通称:楽天VTI)
- SBI・バンガード・S&P500インデックスファンド(通称:SBI VOO)
これらの投資信託なら、ドル転する必要がなく、為替手数料はかかりません。(当然ながら為替変動のリスクは伴います。)
2020年以降、外国税二重課税問題が投資信託ではうまく回避されています。
米国株ETFを買うと、本来は米国で10%、日本で20%課税されるため、リターンに対して約70%ほどしか残りません。
これが二重課税問題となっており、投資家に以下のような不利益があります。
- 投資家は年に一度確定申告をしないと、外国の10%分を取り戻せない。
- その間、再投資に回すことができない資金が発生していることになる。
- 取り戻せるのは、税金還付のため、納税額が低い人によっては全額取り戻せない。
一方投資信託なら、米国の10%と日本の10%分を差し引いた分を、自動で再投資してくれることになりました。
投資信託の手数料はETFより数倍高いですが、為替手数料、再投資、税金の面で、投資家に利益をもたらしてくれるメリットがあります。
投資信託の手数料について詳しくは、こちらの記事を参照ください。
【米国株ETF】手数料負けしないETFの買い方を解説
まとめ
最後に、手数料負けしないETFの購入方法をまとめます。
手数料が実質無料の優良ETFを買う。
- SBIや楽天証券で、バンガードなどの優良ファンドが無料で購入できるようになりました。
- この低コスト化の動きは今後も続くでしょう。売却手数料はかかるので注意。
- ちなみにNISA口座ではこれらの商品に限らず、手数料無料です。
定額購入の頻度を四半期~半年に下げる。
- 購入する頻度を半年程度まで下げても、積立インデックス投資では長期のパフォーマンスに影響ありません。
$5,000以上でまとめて買う。
- 購入単価$5,000以上で、手数料を0.45%以下にできます。購入単価を上げれば上げるほど有利なので、財力がある場合はおすすめです。
ドル転は住信SBIネット銀行。円ベースなら国内籍の投資信託を買う。
- 国内籍の投信は、信託報酬はかさみますが、二重課税問題が回避されており、ドル転コストがないので、米国株に投資する場合にもそれなりに便利な商品です。
- また、ドル転は住信SBIネット銀行を使いましょう。
この中で現在私が実践している方法は、以下です。
- SBI証券でVOOを無料で定期自動購入
- ドル転は住信SBIネット銀行
- 円で買う場合は、eMaxis Slim S&P500を楽天証券で購入
こんな記事も書いています。
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1%ポイント還元最強説で楽天証券も人気でおすすめ。
当サイトで推しのバンガードETFを取り上げています。
資産運用について、もっと勉強したい人向けです。
それではまた。