ETF投資でVTかVOOのどちらかで迷っている場合、どのような基準で選ぶべきかを整理しています。
この記事をまとめると、このような主張になります。
- VOOに向いている人
- 効率的に増やしたい。
- これからも米国の企業が強いと信じる。
- VTに向いている人
- よくわからない。
- とりあえず世界の経済成長を信じる。
VTとVOOはどちらも適切な投資先ですが、費用を重視する当サイトではVOOを推奨です。
この記事ではVTとVOOを比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
- 投資信託・ETFで投資先を全世界に分散すべきか、米国に集中にすべきか決めたい
- バンガードの優良ファンド、VTとVOOを総合的に比較したい
VTとVOOはどちらも優良なファンド
VTとVOOは、どちらも世界最大規模の資産運用会社であるバンガード社が提供する人気ETFです。
バンガード社製のファンドはどれもコストに定評があり、一般のファンドと比較しても非常に優良なファンドが多いです。
バンガード社が優良ファンドを低コストで提供できる仕組みについては、こちらの記事をどうぞ。
バンガード社が提供するETF商品の中でも人気が高いのが、VT、VTI、VOOです。
VTは、MSCI ACWIというインデックスに連動するETFで、保有対象銘柄は先進国・新興国含む45か国の約9,600銘柄です。
VOOは、米国S&P500のインデックスに連動するETFで、保有対象銘柄はS&P500の大型株500銘柄とほぼ同一です。
また、VTIという全米に上場する大・中・小型株を含んだ約3,600銘柄に分散投資するETFもあり人気です。(ベンチマークはCRSP total stock market)
それぞれの分散投資先を図で表すと、こんなイメージです。
VT、VTI、VOOの投資先のイメージ
いずれも人気のETFです。
VOOのほうがコスパがいい理由
VOOはVTと比べてコスパがいいです。その理由は主に米国の経済市場のインフラが整っているため効率的で、金融商品のメンテ費用が低く抑えられるからです。
効率性
VOOは全米の洗練された優良500社に投資するため、効率的です。
S&P500は歴史が長く、その成長率から世界最強の指数と言われています。
S&P500は収益企業が多く、優良な企業に厳選して投資することができます。
言い換えれば、低収益企業や堕天使銘柄への投資をある程度抑制することになります。
その分資金を収益性や成長性のある優良株に投資できるので、投資効率が高いです。
世界と米国は似ている
2022年現在は米国企業の時価総額が世界の6割を占めます。
そして米国企業の時価総額の約8割がS&P500銘柄(VOOの構成銘柄)です。
よってVTとVOOのポートフォリオは似ています。
このことは、VTとVOOのトップ構成銘柄から見て取れます。
VTとVOOのトップ構成銘柄と比率
出典:https://investor.anguard.com
MicrosoftやGAFAなど、米国には巨大グローバル企業が多く、これらの企業が株式市場の時価総額に占める割合が大きいため、VTもVOOも分散効果にそれほど違いがありません。
分散効果がないのであれば、ムダにたくさんの銘柄を保有する必要はないということです。
経費率
- VOOの経費率 0.03%
- VTの経費率 0.07%
米国は経済市場もより効率的に回る体制が整っています。
金融市場のインフラがととのっており、米国銘柄で構成されるVOOのような金融商品は、低コストで運用できます。
とはいっても、0.04%の経費率の差は、もはや気にする必要のないレベルまで来ているといっていいでしょう。
0.04%だと、1,000万円運用していて、毎年の経費の差額が4,000円です。
むしろ、ETFの買い方でコストをより効果的に下げたいところです。
過去のパフォーマンスはVOOが圧倒的
VTとVOOができたのはここ10数年前です。
過去10年のパフォーマンスを比較するとこんな感じで推移しています。
VOOのほうがパフォーマンスは高く、だいぶ開きがあります。
過去5年のパフォーマンスも同様です。
過去2年のパフォーマンスもVOOのほうが高いですが、これはほぼ誤差の範囲です。
値動きの連動性が高いですね。
米国の景気がリーマンショック以降よかったのもあります。
もっというとGAFAMに資金が集まりすぎた15年でした。
今後はどうなるかは誰もわかりません。
経済成長マインドの国家インフラ
経済は結局、国家に下支えされます。
国家が経済成長を優先させる政策に積極的であればあるほど、経済成長は期待できます。
米国は、いい意味でも悪い意味でも資本主義に忠実に動く国です。
もちろん、資本主義=この世のあるべき姿、というわけではありません。
米国が抱える特有の問題というのも深刻です。
それを考慮しても、米国は資本主義を貫く精神が強い国民性が国家に反映されています。
よって、企業も、成長や株主還元、株主の利益を重視した企業が生まれやすかったり、集まってきたりします。
例えば、中国企業のアリババはニューヨーク証券取引所に上場しています。
日本でもLINEやトヨタ、ホンダ、ソニー、キヤノンといった優良企業が米国に上場しています。
他国の企業が、より効率的な資金調達先を求めて、米国に上場することがよくあります。
基軸通貨米ドル
米国は自国通貨の米ドルが強く、インフレを持続させる経済大国です。
少し前の日本のようにデフレが起きている状態では、経済はどんどん縮小し、成長は期待できません。
健全な経済は1⁻2%程度の緩やかなインフレが持続している状態です。
今の米国がまさに理想と言えます。
全世界と比べて、自国通貨を持っているため、インフレのコントロールが比較的しやすく、リスクの小さいマーケットと言えるでしょう。
インフレのリスクと恐ろしさについては、こちらが参考になると思います。
【優良で安心のVT】世界標準となるVTのメリット
ここからは、VOOと比較したときの、VTのメリットをあげます。
全世界に分散投資
VTならVOOの20倍以上の銘柄数約8,000銘柄を全世界に分散投資できます。
究極の分散投資です。
VOOでは、世界市場においてはポートフォリオの偏りが発生し、世界の経済成長と連動するものではなくなります。
また、米国以外の経済成長に乗っかることができません。
例えば、中国、インド、アフリカ、東南アジアの企業や経済が米国以上に成長著しかったとしたら、その恩恵を十分に受けることができます。
カントリーリスクを回避できる
VOOでは米国特有のリスクにより強くさらされます。
米国には例えば、このようなすさまじい問題があります。
- 貧富の格差増大
- 人種差別問題
- 借金大国・借金体質
- 戦争・テロリスク
日本や北欧のような先進国と比べて、米国はより大きく深刻な問題を抱えています。
米国は、世界のお手本となるべき国家でもなんでもなく、様々なリスクを抱えながら、経済成長を続けています。
私も資本主義がこの世の全ての問題を解決するとは思っていません。
倫理観・道徳観が経済成長を鈍化させる要因になることがあるかもしれません。
分配率はVOOよりVTが高い傾向
分配率はVTのほうが高い傾向にあります。
- VTの分配率 2.2% (2023年6月29日)
- VOOの分配率 1.5% (2023年6月29日)
ただし、VOOはキャピタルゲインが大きいです。
新興国のポテンシャル
VTに投資すれば、世界各国がどのような成長を遂げても、とりっぱぐれることはありません。
VOOへの投資一本では、中国やインド、新興国の企業や経済の成長に乗っかることができないと考える人もいるでしょう。
世界の人口はまだまだ増え続け、その増え方は先進国よりも新興国でのほうが大きいです。
しかも、経済も金融もグローバル化し、世界の分断はますますなくなってきています。
新興国の成長スピードはどんどん速くなります。この流れが止まることはないでしょう。
一方で、米国の金融市場は他国の企業にとっても魅力的で、もし他国の企業の成長が著しくても、米国のみ影響を受けないのは考えづらいです。
米国が1人負けする可能性を排除できるなら、VOOも魅力的です。
VTとVOOの総合比較:安全重視ならVT、効率重視ならVOO
VTとVOOの比較をまとめます。
- VTは全世界、VOOは全米大型株に分散投資し、米国は市場がより効率的
- 過去の実績では、VTよりVOOが常に上回っている
- 米国が魅力的な市場なのは経済規模、成長性、金融インフラが整っている
VTとVOOは似て非なるものですが、どちらも優れたETFであるため、決定的な選択基準はありません。
また、VTIはVOOとあまりにもそっくりなため、当記事では割愛しました。VTIを含めた比較はこちらの記事をどうぞ。
VTとVOOを両方持つ人もいますが、そうすると結果的にVOOの銘柄に2重で投資していることになるのは、留意すべき点です。
両方のETFを保有すると、損した気分を和らげる効果が働きますが、ポートフォリオのパフォーマンスがよくなるわけではありません。
ポートフォリオは複雑にしないほうが、将来の自分のためになります。
こんな記事も書いています。
それではまた。