燃費計と満タン法の測定誤差は?13年間のデータ

車の維持費を低くするためにも、燃費は気になるパラメータの一つです。

最近の車にはほぼ標準でついている燃費計。ハンドルとスピードメータ―の近くにあるあれです。一体どれくらい正確なんでしょうか?

そんな疑問を解決するために、日産ティーダの燃費を新車時から廃棄までの13年間にわたって測定してきました。

満タン法によるデータを記録し、燃費計との誤差を測定した結果をお伝えします。

結論だけ知りたい場合は、目次だけご覧いただければわかるようになっています。

過去の記事もご覧ください。

【満タン法と燃費計の誤差】11年間測定し続けた結果【車の燃費】

満タン法と燃費計の測定方法

やり方は、ガソリンを入れる度に満タン給油し、レシートに書かれた給油量とガソリン代、燃費計の値を記録するだけ。

満タン法の計測方法

燃費計は給油するごとにゼロ設定に戻し、次回給油時までの燃費を測定させるやり方を13年にわたって貫きました。

車は家庭の都合上売却しましたが、まだまだ走れる良い車でした。

途中なんらかの理由で記録に不備がある場合は、その当時ある記録と記憶に頼った推定近似値としています。

実データとの違いを明確にするため「データ補正」と備考欄に記しています。

詳細は後述の全データをご覧ください。

結論:13年間で誤差は3.4%。実際の燃費(満タン法)は燃費計の値より3~5%悪い

早速、結論から示すと、サンプル数230で示した日産ティーダの燃費計と満タン法との誤差は、3.4%で、燃費計のほうが燃費がよく見える結果となりました。

2010-2023年で測定した燃費データの分析結果(N=230)

満タン法と燃費計による燃費データの比較結果

誤差は、(満タン法の値―燃費計の値)を満タン法の値で割った数字になります。

満タン法の値は、乗った距離(㎞)を使用したガソリンの量ℓで割った値です。

運転者の乗り方は、いたってエコ運転。

茨城県つくば市近郊を通勤用に使っており、急ブレーキ急ハンドルはほとんどないように心がけているつもりです。

日産ティーダの燃費カタログ値は、10・15モードで20㎞、JC08モードで18㎞です。

JC08モードのカタログ値に匹敵する平均燃費なので、丁寧に乗った方だと思います。

街中を走るときは信号待ちが多いが、都市部ではないので、比較的少ないと思います。

旅行や遠出で高速を利用するときも年に数回あります。後述のデータに明記しています。

満タン法との比較による考察

考察1 新車時のほうが、燃費計の値の誤差は小さい

今思えば新車時は誤差は小さかったです。

新車から5年ねくらいまで、走行距離で8万キロくらいまでは燃費は維持されていました。

しかし、燃費計との誤差も比例するように大きくなりました。

データで示すとこちら。

走り出し(2010年)の実測値と燃費計の値の誤差は2.1%と小さい

これは車の性能が新車時は設計したとおりに近いからというのが一つの理由だと思います。

もう一つは、タイヤのすり減り具合が大きいと考えています。

納車から最初の4年はタイヤ交換をしていません。

タイヤ交換しないと、タイヤがすり減り、走行距離が計算より短くなります。

その分満タン法による実測燃費は、燃費計よりさらに悪く出ます。

考察2 13年間にわたって、燃費計の値は実際よりも良い値を示す傾向が強い

ではこの傾向はその後も続いたのでしょうか?

結果はこちらです。

走り出しから数年は測定誤差が開いていきましたが、その後は1.7~5%の間で推移していました。(2022年だけ異質なデータに見えますが、2021年の後半あたりから子供が増え、街乗りが多くなった影響が考えられます。)

満タン法と燃費計の誤差と走行距離の相関はない

満タン法と燃費計の誤差と走行距離の相関

その後13年にわたり、車検やメンテを繰り返しながら、車を走らせてきましたが、年間平均でみても、燃費計の値が、満タン法による実測値よりいい表示になることはありませんでした。

ただ測定誤差が広がるような傾向は見られませんでした。

考察3 実燃費は経年で劣化する。劣化後の誤差は小さくなる

新車から5年くらいまで、走行距離でいうと8万キロくらいまでは燃費は維持されていました。

しかし、6年目以降は徐々に燃費が劣化していることがわかります。

満タン法による実燃費値の平均とばらつき

このティーダは乗り出しから処分までとおして実質の燃費性能は平均17.8㎞/Lでした。

8年目以降はこの燃費平均値を下回っており、新車時の性能にはなかなか戻らない傾向があります。

要因としてはエンジン内部や足回りの劣化、またボディの表面が荒れることによる空力の悪化も考えられます。

考察4 高速利用が多いときは、燃費計より実燃費のほうがよい傾向に

以下は、高速利用が多かったときの燃費データの抜粋です。

給油の間隔で高速道路利用が長いとき、車にやさしい運転をしている割合が多く、実燃費が跳ね上がります。

ところが燃費計はよい値を示しません。

あおり運転や速度オーバーをしているわけではないので、高速道路の走行のほうが間違いなく車への負担が軽く、エコ運転です。

高速運転が多いときは、満タン法による実燃費と燃費計の値の乖離が大きくなります。

満タン法と燃費計の測定データ一覧

以上の、結論と考察を導いた元データがこちら。

2010年から2022年までのデータを公開しています。

ガソリンを入れる度に、燃費計の値と実燃費を満タン法で計算し、誤差を測定しています。

誤差が赤いバーで表示されている場合は、燃費計が実際よりもよい値を示している場合です。

満タン法と燃費計の誤差データ2022

まとめ 満タン法と燃費計の誤差は13年間230回以上測っても5%以内に落ち着く

今回、自家用車である日産ティーダで長期にわたって計測してきました。

なかなかここまでの回数測り続けている例は多くないと思います。参考にしてください。

ちなみにティーダは2016年で生産停止になっています。

燃費計の仕組みを知りたい方はこちら

こちらの記事も、仕組みを簡単に説明しています。

満タン法は正確な実燃費を測れますが、コンピュータの計算で出している燃費計とはどうしても誤差が発生します。

メーカー側はこれを5%以内にしようと設定しています。

最初から完全に一致することは期待できませんが、今回の実験結果で驚くべきことは、13年以上にわたっても、その誤差は許容範囲内におさまっていることです。

これからも燃費の測定を続けていきます。アップデートをお楽しみに。

ガソリン代については、こんな記事も書いています。

車の一か月当たりの維持費は?|具体例で計算

それではまた。