生命保険に入って、7年ほど経ちます。
結婚したての当時、全く保険の知識がなかったときに、ほけんの窓口で説明を聞いて、3種類の生命保険に加入しました。
その後掛け捨て型の2つを解約し、残りの一つである終身保険も入らなければよかったと後悔しています。
この記事では、終身保険を契約した体験談を通して、その後の経緯と感じたことをお伝えします。
一言でまとめるなら、今生命保険への加入を検討している人には、終身保険はおすすめできません。
終身保険はおすすめできない
今の時代、終身保険は本当におすすめできません。
- 高額で低金利
- 長期契約で変更できず、初心者に不向き
- 保険としての機能は定期保険に劣り、貯蓄性としての機能は国債や資産運用に劣る
- インフレ対策がない
終身保険は、積立貯金の感覚で保険料を支払いつつ、万が一の保障をつけながら、満期後に元本+利息を得られる商品です。
しかし、今は低金利時代が続いているため、保険会社の運用利益も圧迫されています。利息は微々たるものになり、長期間失われる流動性を考えると保障やリターンはあまりにも小さいです。
貯蓄性重視の生命保険である終身保険は、0.5%程度の低利率でインフレ対策もされず長期契約となるので、契約する方が損するのがほぼ確実です。
金融商品としては明らかに魅力が落ちています。そして何より、あとで気づいても見直しができない。
にもかかわらず、それに気づかず、とりあえず生命保険に入っておくのが安心と考える顧客層がいます。当時の私はそうでした。
不勉強なまま終身保険を契約した結果
私自身の過去の経験からは、保険の窓口で将来のリスクや保障、生命保険の仕組みについてマンツーマンで無料で教えてもらえたことにはとても感謝しています。自分にとっては新しい発見だったからです。
将来の様々なリスクに対しては、この保険で備えるといった説明が、見事に理にかなっていました。
理にかなっていたように聞こえました。
妻も連れて何度も保険の窓口に通い、夫婦で納得した上で、3つの保険に加入することにしました。
- 自分が死んだときに家族が受け取れるための死亡保険(定期保険)
- 自分が高度障害を負って仕事が出来なくなったときに受け取れるための保険(定期保険)
- 子供の大学費用を今から積み立てられるようにしておき、万が一死んでも学費を払えるための学資保険(終身保険)
の3つです。
それから生命保険という金融商品の仕組みに興味がわき、自分でも調べていきました。
すぐにからくりに気づき、定期保険の2つは解約しました。さらにより保険料が安く自分にあった収入保障保険に別の保険会社経由で契約しました。
終身保険は損が発生するため、結局解約できませんでした。
契約期間である17年の間、解約すれば元本の7割ほどしか戻ってきません。
17年後には、元本+利息が戻ってくるが、自分で資産運用すれば、はるかに大きな金額のリターンが期待できるため、後悔しています。
予定利率1.85%の実質利率は1.18%
予定利率が1.85%だったが、それにしても受取額がそこまで増えていないように見えました。
契約してからも気になり続け、金利をエクセルで計算してみました。実際、受取り額と年数から計算してみると最高で実質利率は1.18%。その後は持ち続けるほど利率は下がっていく設計でした。
予定利率がてっきり実行利率だと思い込んだばかりに、これは絶対即刻契約しなければならないと思い込んでいました。
定期預金しかしないのであれば優良商品かもしれませんが、長期でお金を運用するとしたら3~4%の年利は期待していいです。
1.18%の堅い商品に多額のお金を投じる契約は、思っていたほどの魅力ではありませんでした。
その後自分の資産運用でのポートフォリオを考えたときに、損切りして解約するか迷いましたが、そこまで痛い契約ではないとし、残すことにした。
他の終身保険の例と比べれば、1.18%という数字は決して悪くはないです。
残す理由は以下4点があげられます。
- 1.18%なら、定期預金しているよりはマシ
- 元本割れしないため、学資保険など将来一定の時期に必要とする費用に充てるのに最適
- 現金・債券と並んで、ローリスク資産になる
- 一応、死亡保障がついている
- 生命保険料控除が使える(契約中+解約時)
人によっては、これなら魅力的に感じることもあるかもしれません。
私としては、今同じ保険があったとしたら契約するかと言われれば、Noです。
理由は、
- 高い保険料を支払うかわりに、自分で運用する
- 将来の選択肢が奪われる
- インフレに弱い
- 死亡などのリスク保障は、遺族年金+社会保障制度、貯蓄、団信、親族のサポートで賄える
とりあえず、終身保険という長期の契約で縛られることに嫌気がさしました。
終身保険は何も知らない素人が安易に入るべきものではない
生命保険の仕組み自体は詐欺でもなんでもありません。
しっかり将来の起こりえるリスクを理解し、備えの手段の一つとして保険を使うのはまっとうなことです。
ところが、このリスクとしっかり向き合おうとせずに、不安だけを消したいがために保険に加入するという行為は、本当に正しく将来リスクに備えられているとは言えません。
ましてや保険の仕組みを分からずして、とりあえず入っておけば安心という場合は、全く備えができていないのと同然であり、それなら保険に入らなくても同じ。保険料の払い損で終わっているだけです。
人によっては、
将来のことや、リスクがなんだとか、考えるのは面倒だし時間もかかるし、何が何だかわからない。お金で解決できるならさっさと保険に入って、将来や万が一の備えの事などに対する思考を停止してしまったほうが楽でいい。
こう考える人も多いと思います。
私は実際に生命保険に加入していましたが、本当に将来のリスクに備えられていると思ったのは、生命保険に加入しているからではなく、リスクを意識して生きてきたからだと思います。
保険に入ろうが入るまいが、将来のリスクを頭で考えて生きていなければ、備えというのは全くできていないのと同じです。
保険に加入する理由を理解し、保険料を払い続けていることでその意識がある程度持続する効果もあると思います。
生きていて目の前のことで精一杯だというときもあると思います。
では、余裕がなければ、将来のリスクに備えられないのか?
そんなことはない。意識を持っているだけで、準備の半分くらいはできていると思います。
心の準備があると、いざ有事の際の初動をよくすることができるばかりか、自然と対策する行動をとるようになります。
例えば、浪費を抑え、貯蓄するようになります。
自分の中に、そうすることに理由があるからです。思考停止で生命保険に加入しているよりもずっとよいです。
まとめ 終身保険をおすすめしない理由と後悔
- 終身保険は今の時代おすすめではない
- 予定利率を金利と信じ、不勉強なまま急いで契約をしてしまったこと
- インフレ対策もなしに長期間資金が固定されてしまったこと
契約当時は2013年でしたが、今の時代も終身保険はおすすめではありません。
資産運用している人なら、もっと賢くリスクとリターンを考えて金融商品を選んでいるはずです。
そもそも生命保険の機能は、万が一に自力では備えられないリスクに対して使えるツールです。
そこに貯蓄性を求めてるとコストが爆増し、他の金融商品と似た特性になってきます。
そうなると、終身保険は、生命保険としてではなく、金融商品として見るべき味方に変わります。
本当に魅力的な商品があれば、随時ご紹介したいと思いますが、今の時代は地雷ばかりです。
本当に自分にあった保険と出会うためには、まずは取り返しのきく掛け捨て保険から加入を検討することをおすすめします。